とある屋敷にて。 およそ二十畳はあるであろう広い室内に二つの影があった。 上座には男、下座には彼に仕えている忍びと思われる女が居る。 「京の様子はどうだった?」 男の穏やかな声が静かな室内に零れた。 「はい。いつもと変わらず、人が行き交い、賑やかです」 「そうか」 女の報告に男はつまらなそうに溜息を吐くと、外に視線を移した。