「…っと」


…やば。あの子の携帯、持ったままじゃん。

返さなきゃ。と思ったものの…、


「…桜庭、早く行け」


…鬼のような形相の赤井センセがドアの前に立ちふさがる。


「センセ、ちょっと用事出来たから通して」

「いいから行け!!」

「ほんとに少しだから」


「そう言ってまたサボる気だろう!?」


……ほんとに少しなのに、中に入るのは難しそう…。

だから仕方なく、あの子の携帯を持ったまま再び龍輝たちの後を追う。




「…まぁ、休み時間に行けばいいか」


ポツリと言い、携帯をブレザーの内ポケットへと押し込んだ。