じゃあ何か、と記憶を探ってみるけど見つからない。 隣でズゴーっとパックのレモンティーを吸い上げる音がする。パックの色と有岡の明るい髪色が被っていた。 「え、飲む?」 「結構です。」 差し出されたパックを押し返す。 「昨日、弟迎えにきた時。」 ピタリと動作が止まる。 同時に時間も止まったと思った。 でも、そんなのは私の錯覚で。 「教室じゃ、仲の良い奴以外には無関心って眼してっから。」 「…そんなこと、」 「あんだよ。」 視線を向ける。 有岡は笑っていた。