ああ、何てことだ!!!
蝶が…黄色い蝶が!!!
"約束の地(カナン)"に出現していたのか!!!?
見えるのに…。
はっきりと危機は見えるのに、
僕は蝶を弾く力が作れなくて。
僕だけが芹霞を守れた力が、今僕にはなくて。
蝶が…芹霞に向かっているのが判る。
僕の外気功は蝶には効かない。
どうする、どうすれば!!!?
無力なんて認めない。
僕は…芹霞を守る!!!
そして見えるのは…アトラクションの頂上。
――やっぱさ、ネズミーランドみたいな"シンデレラ城"って欲しいよね?
まだ…建設中のアトラクションの建物は、準備途中の機材が剥き出しになっていて。
鋭利な鉄材の先端が、それはまるで凶器の如く――芹霞の真下にあったんだ。
逃げ道は…ない!!!?
僕と芹霞の――
「芹霞、芹霞!!!!」
手と手が触れた。
痛む心臓を堪えて、僕は必死に手を伸し…
芹霞の手首を掴んで、ぐいと引き寄せる。
落ちる。
落ちる。
加速された落下は止らない。
僕達は、凶器の真上に落ちていく。
そして凶々しい黄色い蝶に取り囲まれていく。
僕は全身で芹霞を庇うように包み込んだ。
僕に力がないのなら。
僕の身体で君を守ろう。
君の為なら――
目を抉られようが、串刺しになろうが構わない。
ああ…串刺しの前に、蝶の方が先なのか。
視界に黄色が拡がっていく。
僕は芹霞を更に強く抱きしめた。

