『皆様、"約束の地(カナン)"に…来て下さい!!!
天使が…天使が飛んでいるんです!!!
ああああああ!!!』
"約束の地(カナン)"は特殊な土地。
其処には密やかに天使が居る。
それはトップシークレット。
天使だとは、見た目では判らない。
あたしは――
中継に違和感を感じた。
"彼ら"は飛べない。
万が一に飛べたとしても…
公にすることを久遠は好まないと思う。
久遠は、他人に踏み込まれるのを嫌う。
彼がテレビ中継を許可した時点でおかしいんだ。
久遠達は何をしているのだろう。
ちゃんと無事に居るんだろうか。
不安になってきた。
『天使の歌声…聞こえますか!!?
ああ、何て奇跡!!!
奇跡が今、目の前で起きています!!!
感動です、感激です!!!
素晴らしい、ああ!!!』
最後には本格的に泣き始めた。
歌声?
あたしの耳には届かない。
"約束の地(カナン)"に、そこまで他人を感動させる歌声を披露出来る者達はいたろうか?
まさか久遠が歌ってるとか?
マイクを持って熱唱する久遠を想像してみた。
……ありえない。
――は!!? 何でオレが歌わないといけないんだよ。このオレを馬鹿にしてるのか?
くらい…言って、断固拒否するだろう。
あるいは完全無視して、スタスタどこかに行ってしまうか。
久遠は協調性がないオレ様男だ。
自由気ままに、したいようにする。
土下座をして頼んだって、やってはくれまい。

