何より俺が驚いたのは、西がつくとはいえ…東京の3本の指に入る繁華街である新宿に活気がなくなっていたこと。


閑散としている。


人は…いることはいるんだ。


だがその数は、いつもより圧倒的に少なく。


若者がいるとしても…何かおかしい。


若者らしさがない…生彩がない…。


しかも何だ?


派手の色やデザインがない…殆どが黒か紺色の優等生みたいな格好。

茶髪なんていねえ。


複数で歩いていても…道に沿って縦列。


軍隊かよ?


制服着てる女学生の長い髪は…黒ゴムでみつあみ。

スカート丈は膝下。


学生の制服は、男女共に一番上までボタンが止められ、乱れた部分など何1つなく。


俺のように着崩した着方をしてる奴などいねえ。


何より…誰もの顔に笑みはなく、どちらかと言えば青白い…周囲をやけに気にしたような、怯えた表情で。


怯え?

誰に?


「何でこの数日で、天下の新宿がこうなったよ?


こんなのまるで――

"生ける屍"じゃねえか」


そう。

ゾンビだ。


生きているのに生きていない…そんなモノ。


夢でも見ているんだろうか。