「やだやだ、まだ心の整理ついてないから、中に入りたくない!!! 入りたくないって言ってるでしょ、放って置いてよ、バカ久遠、アホ久遠!! 聞いてるの、耳が遠いの!!!?」
「オレを年寄り扱いするとはいい度胸だな、せり。17にもなって、ガキみたいに駄々捏ねるな!!! なんでお前"達"は揃いも揃って…幼稚園児か!!!」
「あたし子供じゃないもん!!! れっきとした大人!!! アダルトよアダルト!!!」
「大人の恋愛経験皆無で恋愛を語り、そんな貧相な体でアダルトを言い張るな!!!」
「あたしの身体見てもないくせに、貧相言うな!!! 知らない癖に!!! あたし、服を脱いだら…ぼんきゅっぼんで凄いんだから!!! 百戦錬磨の久遠だって鼻血ぶーっなんだから!!!」
足を止め――
凄く、冷たい瞳を向けられた。
やば…。
言い過ぎたの…ばれちゃってる?
動揺を見透かすような沈黙に、焦ったあたしの口は止まらない。
「き、きききっと、久遠なんて…あたしのぼんきゅっぼんにメロメロになっちゃうんだからね!!!」
依然、冷たい瞳と不気味な沈黙。
動きすぎだ、あたしの口。
慌てる心とは裏腹に、何でこう平気でそんな言葉が出てくる!!
「久遠、鼻血の大量出血で死にそうになるんだからね」
言い過ぎだって、自分!!!
絶対…バカにされるのがオチだ。
鼻でせせら笑われてお仕舞いだ。
しかし。
長い長い沈黙の後、久遠は言った。
「ふうん?
せりの体はそんなに凄いんだ?」
「し、ししし信じてないでしょ!!!」
「勿論。ありえない」
そこまで即答断定されれば、こちらも妙に意固地になる。
「あ、ああ…あたしの身体に群がる男は沢山いるんだから!!!」
虚しい…。
言ってて虚しくなってきた。
また長い長い沈黙の後、久遠が言う。
「だったら、納得させてみるか、オレを」
「へ?」
「溺れさせてみろよ、せりの身体で」
「は?」
「オレに初めての――
鼻血を出させてみろよ、せり」
再び久遠はあたしを担いだまま、歩き出したんだ。
「ちょ、ちょっ!!! どこ行くのよ、どこに!!!」
そして――。

