「凛は…同一」
「ええええ!!!?」
僕は仰け反ってしまった上に、
たらたらと汗まで掻いてしまった。
櫂が…。
櫂がどんな顔で…。
「意外に化粧映えして。COOL BEAUTYさ」
鼻息荒く、由香ちゃんは言う。
ふと、思った。
「ねえ…久涅は疑わなかったの?」
あの男が、ほいほいと騙されるとは思えない。
「うん…。久遠がね、夜伽女だと…」
「よ、よと!!!? …げほげほッッ!!!」
僕は途端に咽せ込んだ。
「師匠、大丈夫か、師匠!!?」
「げほげほッ…あ、ああ大丈…げほげほッ…」
夜伽!!!?
久遠の相手を女装の櫂が!!!?
うわ…。
「よくそれで久涅は納得したね」
「女装は真っ先に疑われたよ。同じ顔してるしね。だけど自分の女装姿を想像してみろといったら、黙った」
きっと久涅の想像上では、彼は櫂の女装以下の"ゲテモノ"だったんだろう。
あの傲慢男は、男としては自信があっても、女としては自信がないらしい。
「凜の手首の布を指摘された時はビビったけどさ」
布…。
離さず、しているのか。
――紫堂櫂を愛してる!!
ずきん。
胸が痛んだ。

