女王のココロを奪うkiss(休載)



祐斗も人差し指を軽く曲げて顎に当てて考えている様子。

視線が彷徨い、それからふとあたしの目に向けた。



「わかった、苦し紛れでしかないけど何もないよりはマシだ」



どうやら、何か閃いたらしい。



「どうする気?」

「有紗とはお前が飛び降りた後、接触したか?」

「してない」

「なら誤魔化せるかもしれねぇ」



ニヤリと悪巧みを思いついたような顔をして、視線をあたしの足元、胴体に巡らせた。



「着地は当然足元からするだろ。その時、普通の奴ならケガする可能性もあるわけだ、降り慣れてなんてないからな」

「ケガ……?」



自分の脚を見ると、当然ながらかすり傷一つできていない。

一滴の血も滲んでいない。



「捻挫したとでも思わせとけばいいんじゃないか?」

「あぁ、なるほど」



つまり祐斗は、あたしが窓から降りたのは怪我を覚悟してでも逃れるため、ということにしようと考えたわけだった。



「まぁ少し厳しいとこもあるかもしれねぇけど」



そう言って祐斗はあたしの膝の裏と背中に手を置き、いきなり横抱きにし始めた。



「え、ちょ、ちょちょちょちょ、な、なに!?」

「形だけでも保健室行く」



いきなり近づいた顔、抱きかかえられた格好に顔に熱が集まってくるのを感じた。