誰も居ない埃まみれの階段が、僕の目の前で封鎖されている。


施錠された南京錠を、僕は慣れた風に針金でこじ開ける。



カチャッ・・



まさか本当に開くとは、正直思っていなかった。


慣れた風に、というだけで、本当はピッキングなんて初めてやったのだから…。


もしもここで開かなかったなら、僕は死ぬのをやめただろう。


しかし、鍵は開いてしまった。


これは、僕に死ねということなのだろうか。


…いや、元々死ぬはずだったんだ。


何を今更…。



僕は鎖を解き、格子のような錆びた扉をゆっくりと開いた。