「運がいいな?」 意味が分からず、匠はおうむ返しをする。 返事を待っていると、宗は「そりゃそうだろう」と両眉をくいっと上げた。 「あんな若造の推理ものってだけでもしょうもないのに。事件のドラマを見ながら飯が美味く食えるわけもないだろう」 「…………」 本心なのか、冗談なのか、飄々とした口調からは判断がつきかねた。 匠は姫子を見上げ、姫子は匠を見下ろし、ふたりして肩をすくめた。