カップから立ちのぼる湯気は、洋館におあつらえ向きの香りがした。 といっても、匠自身はラテの味が分かる年頃ではなく、そばに置いてあるのは、既に空になっているオレンジジュースなのだが。 「ううん……それにしても……」 匠はあるメモ紙を凝視していた。 客室全室の机に置かれている、ペン立てのついた切り取り式の分厚いメモ帳の一枚だ。 「難しいでしょう?」 得意げな姫子が癪に障るも、認めざるを得ない。 メモ紙に書かれているのは、彼女が自作したというあるクイズだった。