━━Ⅱ━━ 1階のトイレは改修中とのことで、匠は大階段をあがって左手に進んだ奥のところで用を済ませた。 「ふうっ。間に合った……」 スッキリして意気揚々とエントランスのほうへ戻っていると、姫子が大階段からのぼってこちらに歩いてきた。 「お姉ちゃんもトイレ?」 「こらこら。乙女に向かって『トイレ?』なんて聞いちゃダメじゃないかあ」 例によって、両頬をぎゅうっと挟まれる。 「ごむん、ごむん(ごめん、ごめん)」