「なっ……じゃあ……ひっかけってこと?」 テーブルに置いている香苗の手が、わなわなと震える。 まんまとひっかかった悔しさがありありで、握られた手の甲に青紫色をした血管が薄く浮かんだ。 「そうだよ。『呻』の漢字が、ひっかけだよってヒントだったわけ」 「ちょ、ちょっと待ってくれ匠くん。内容が関係ないなら、解きようがないじゃないか。ねえ、先生?」 浮夫に話を振られた秋は、「いや、もしかしたら」とメモ紙に顔を近づけた。