「ああもう!ボクは詐欺師でも坊主でもなくて、匠って名前がちゃんとあるんだけど!」 「匠っ」 真紀子にまた叱られたが、匠は顔をくしゃっとして宗に向かって舌を出した。 「はいはい、降参だよ降参。オネガイデスカラ、コタエヲ、オシエテクダサイ、タクミドノ」 棒読みにムッとしつつ、匠は心の中で「勝った」とガッツポーズをした。 全ての謎を「自分だけが解いている」という優越感は、多少の語弊こそあるが、実に甘美なのだ。 「だいたいさ、みんな難しく考えすぎなんじゃない?」