だといいけどなあ、と宗。 「案外、包丁持った犯人と素手で戦った名残ってオチだったりしてなあ」 彼の意見はもっともで、匠も最初に考えたのだが、だとしたら納得のいかない点が出てくる。 「おかしいよ、それは。お姉ちゃん、もぞもぞしながらメモ紙探して握ったんだよね?手がグーだと、動きにくくないかな?支えらんなくって」 「……そ、そうか!たしかに、言う通りだ」 すっかり匠の推理に惚れ込んでいるのか、浮夫は大仰に手を叩いて感心した。