一つ、深呼吸をして落ち着ける。

わたしと泉は親友のようなものなのよ。

執事になったって関係が変わるようなことなんてない。

そうよ、下僕の時と同じように……。


『お嬢様』


記憶の中で、わたしを呼ぶ声を思い出す。

お嬢様お嬢様って、帰ってきてからまだ名前呼んでくれてないし。


名前……って、別に呼んでほしいとかじゃないのよ!

でもなんで今になってそんなこと思うのよ……。


あーもう、今日のわたしはなんか違う!

調子狂うわ!!


両手を頬にあてて悶絶するわたしは、いったい部屋で一人で何やってるんだか……。


もやもや考えるのはやめよう。

心臓も落ち着いてきたし、ごはん、食べたいし。

泉の作ってくれるごはん……って、だからなんでこう意識しちゃうのよ!


あぁ、やだ、何だか恥ずかしくなってきた。

というか寝起き姿見られた!?

赤面と開き直りを数度繰り返し、わたしは着替えをして部屋から出てリビングに移った。

そろそろご飯が出来上がる頃だからしょうがないのよ。