夜兎の里、『兎宿』のロビーにて。

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九條「それは〜 ちょっと言えない…かな。ここの皆に迷惑がかかるといけないから。」

池堀「迷惑がかかる…って。九條くんは誘拐されてるんじゃ?」

九條「ん?誘拐?…いやいや、そんな悪いことにはなってないよ。俺は無事だか……っ」


?「はい。そこまで〜!!代わってね♪」

突然入ってきた女性の声。九條が慌てている声が遠くに聞こえるが、女性は構わず電話を代わった。

女性「もしもし?『きなこ』の…会話的に推理して…池堀さんかな?」

池堀「はい、そうですけど。貴女は…。」

女性「フフン♪当ててみ?すぐ分かるでしょ?」

もちろん翔太は気づいていた。

この楽しげな話し方と笑い声…

間違えようがない。


池堀「…ルルさん、ですね。」


美知瑠「ん〜。まぁ、半分正解 てな感じかな。私の名前は美知瑠。ルルはハンドルネームだよ。」


池堀「みちるさん、ですか。まぁいいや。九條くんは無事みたいですけど、丸居さんの方はどうなってるんです?」

美知瑠「んとね〜 死んじゃった〜みたいな?」


サラっと答えた。


池堀「…はい?」

美知瑠「だから〜 し・ん・だ・のッ!! 何回も言わせないでよ。こっちだって言いたきゃないんだから〜。」

美知瑠は辛さを隠す。もう泣かないと決めたから。


池堀「し… 死んだ?丸居さんが?そんな馬鹿な…。まさか貴女が殺ったんじゃないですよね!?」


池堀の手が震えている。

心の底から込み上げてくるような激情。

悲しみや怒りを通り越した、何ともいえぬこの気持ちはどうしたものだろうか…。

右手で拳を握りしめ、
深呼吸をし、なんとか平静を保つ。


美知瑠の答えは やはり予想通りであった。


美知瑠「…私です。もう分かってるだろうけど、劇場の舞台の上で死んだわ。誰も怨まずにね。」


池堀「…。ちなみに、最期は、僕らに何か言ってましたか?」

妙に冷静な声だ。

美知瑠「…言ってましたよ。あまりにも単純な言葉だったけど、『皆によろしく』って。そう言ってました。」


池堀「そう…ですか…。」