「丸居紫苑を殺せ。」

一ヶ月前。上忍になった美知瑠(ミチル)に、初めて命じられた任務はこれだ。

丸居紫苑…

彼は劇団『きなこ』に所属する役者志望の青年だった。

美知瑠はここの劇団員達が好きだ。


「好きだ」というより

長い年月の中で、もはや彼等は美知瑠の友となっている。

それも親友だ。


美知瑠の心の中では
忍びの仲間達よりも大事な存在になりつつあった。


--------------------------任務一週間前。

「チロル、今回の任務はお前が上忍になってから行う初めての任務。受ければ全ての指揮をお前が握る。ミスは許されないが ……辞退という道もあるぞ。あくまで参考程度の意見だがな。」


美知瑠の兄は里の筆頭指導員を任されており

当然妹の修行を主導したのも彼だし、この任務を里長の伝言として美知瑠に伝えたのも彼である。なぜか美知瑠を「チロル」と呼びたがる。