家の中へ入り、母さんに買い物したものを渡す。
そのあと俺はすぐにじぃちゃんの元へ向かった。

「じぃちゃん、ちょっといい?」
「…入れ」

ふすまを開けると、じぃちゃんがいた。

「どうした…?」
「なぁ…俺らの能力って、なくなることってある?
なんかわかんねぇんだけど…俺、能力消えたみたいなんだ」
「……、奇跡的に、能力が消えることも、あると聞いたことがある。
優心は、その奇跡のおかげで…能力が、消えたのじゃ。
よかったな、優心」

奇跡、か。

「俺……すっげぇラッキーなんだな」


俺は、能力がなくなったのが雫のおかげだなんて、

これっぽっちも、思うことなんて、なかった。

いや、そんなこと。

予想すら、できなかったんだ。