風に当たろうと、外に出た。


「うーん。あの人に会えたら何か聞き出せると思うんだけどなー…。」


街灯の光に引き寄せられるように家の真ん前にあるベンチに座る。

少し夏にしては静かな夜だと、意味もなく空を見上げた。


何も肝心なことが分からない。

知りたいと思っても、結局は解けない問題だ。


「そう言えば……。」


いつからお母さん達は居なくなったんだろう?

思い出そうとしてみても何も思い出せない。何故?


分からない。


ふと思った疑問には答えがあるのだろうか。

記憶の中にはお母さん達の顔は光のせいで見えない。どうしてだろう、目を閉じた。