鼻を抑えながら見ると、
少し前に歩いていた真太郎の姿があった。


「あそこに何か見えた?」


森の入口を指差した。


「うんん。」


フルフルと首を左右に動かし、もう一度見ても何も変わらなかった。

──一体、何かあるのかな?

でも…


「……そっか。」


悲しそうに笑う真太郎にズキッと痛みがして
何があるのかも聞けなくなった。