「簡単さ。」


さも同然のように言い放つ人に目を丸くする。


「…君、妖怪飼ってるでしょ?」


「妖…怪?」


さっぱり分からない。

飼ってるのは黒猫の真太郎だけ。…まさか。


…リン。

耳に凛とこだまして聞こえて来る。

その鈴の音に暑かった気温が、一気に寒くなってゆく。


「……失せろ。」


その声は低く、現れたのは



「へぇ…」


ふわふわそうな2つの尻尾に黒色の耳の男。