「・・っぅ・・」


止まれって思っても、涙は止まってくれなくて・・


これじゃ、部屋に戻れない・・。



「何で・・泣いてんの。」


「・・へ。」



間抜けな声を出して、上を向いてみると。



「・・っ!」


心配そうな顔をした、直哉が立っていた。


直哉は隣に座って・・私の背中を撫でた。



「何かあった?」



首をかしげて、いつもより何倍も何倍も優しい声で話しかけてくる。


「なんでも・・ないっ・・よ。」


私は急いで涙を拭いて笑って見せた。



「嘘つくとき、髪の毛耳にかけるよな。」


「・・え。」


「昔っからの、お前の癖。」


そういって、くすりと笑った。



「・・そ、そんなことっないし!」


「ほら、また耳にかけた。」


「・・・っか、かけてない!」


「素直じゃねぇな。」