「……っ」
もう一蹴り行きそうなさざめきの足だが――その前に、五十鈴が立った。
「この、阿呆んだらが……!」
べちっと五十鈴が藤馬の頭に手刀を落とした。
痛くなどない、我が子を叩くほどに力ない一撃でも。
「いつまで悪役面している……!助けてもらう立場のくせして、なんでそんな態度でいられるっ。お前を助けてくれる唯一の人がこの男なんだろうが!
無償な優しさが嫌いだかされたくないんだが知らないが、命の恩人になんて口の聞き方をする!だから友達いないんだろう、お前!田舎のワルガキか、お前は!大人になれ、そんな性格だと絶対後悔するぞ!
嫌々ながらでも助けてくれる人が偽善だろうが、罵れるだろうが、助けてもらうことには変わりないだろう……!
罵倒並べる前に、軽口叩く前に、『ありがとう』ぐらい言え、阿呆んだら!
プライドでそんな言葉が言えないならば、捨てろ!下らなすぎて、目も当てられない!『感謝ができなくなるプライド』なんて犬にでも食わせておけ、この空前絶後の阿呆んだらがっ!」


