さざめきの爪先が藤馬の腹を蹴りあげた。
胃が潰れたらしく、藤馬が咳き込みと共に吐瀉物を吐き出したが――鮫歯の隙間からの呼吸が「シシッ」と漏れる。
「怒んなよぅ、って言いたいが、怒りたくもなるわな。下手したら、俺よか上の唯我独尊ぶりだよなぁ、あいつは。
それでも嫌いにならないてめえがわりいな、そりゃ。あー、怒ってんのは自分自身か?
慕う相手を間違え、そうして、なりたいものにもなれずに、俺なんかに奪われてしまうほど弱い、自身の非力さに、今でも首を絞めたいんじゃね」
「……」
はみ出た腸が踏み潰される。
「がっ、し、シシッ!いいぜぇ、もっと怒れよ。それはてめえの非力さを弱さを不甲斐なさを物語る訴えだからなぁ。
それと同時に、憎しみ持つ俺を救わなきゃなんねぇ、“何がなんでも救わなきゃいけねえ”となりゃあ、憎しみが強い分、屈辱だろうよぅ。
俺に優しくない、甘くないてめえが、強制的に優しく甘く、命張ってまで救わなきゃならねえだなんて、マジひさんー」


