「前の話……?」
藤馬を嫌うさざめきが、強制的に助けなければならないとするその切り札が気になった五十鈴がつい口を出してしまった。
出したというよりは滑らしたか、聞くつもりはなく、単純に疑問が口から零れた程度でも――藤馬は待ってましたと言わんばかりに笑ってみせた。
「ああ、そーだよ。前の話だ。最強な俺を見込んで、こいつとこいつの身内、そうして“あいつ”は俺を勧誘してきたんだったよなぁ」
「僕は反対だった。……しかし」
「だあれも嫌いにならねえ“あいつ”は別だったかぁ?どんな悪さえも人間だからって好いてくれる奴は、俺の力に一目を置き、それで周りを救えって言ってきたんだっけかなぁ」
「……」
覚えているのにわざわざさざめきに賛同を求めるあたり、藤馬が意地の悪いことをしていると見受けられた。


