~回想~

「ねぇ、どこ行くの?」

「誰と行くの?」

「男は居るの?」

「何時に帰ってくるの?」

毎日、必ず聞いてくるので、

晴菜は悠矢に浮気していると思われているんじゃないか。

そう思って、ある日聞いた。

「ねぇ、悠矢?」

テレビを見てもいないのに、つけっぱなしにしながら
ソファーに座って雑誌を読んでいる悠矢に尋ねた。


「晴菜が、浮気してると・・・思ってる?」

晴菜がそう言うと悠矢は体を起こし、
視線を向けた。

「えっ?俺、これっぽっちも思ってないけど?」

「でもっ・・・」

「そんなこと思ってないから。そんな泣きそうな顔すんなよ」

そう言って、優しく抱きしめてくれた。

「悠矢・・・ありが・・『だってさ・・・

「晴菜は俺のモノだもんな?」

ゾクッ

晴菜は今の言葉を聞いた瞬間、背筋がゾクッとした。

なんとなく、いや完全に恐怖を覚えた。

悠矢の喉から出てきたのは、いつもより低い声。

その低い声が悠矢の本音だという事を物語っていた。


晴菜がおかしいのか、悠矢がおかしいのか


分からなくなった。