もう卒業手前の日

彼女の言ったことが分からなくて聞き返した

「は?」

「あたしね……留学するんだ」

すまなさそうに視線を下に向け夏輝ちゃんが零した

「外国に、だよね?」

「うん。お父さんの仕事でね」

カラカラの声は、何も言えなくて



「……そっか…」

「幸くん達の卒業式の日なんだ」

「……なんで?」

「え?」

「なんで、今言うんねん」

自分でもびっくりするぐらい声が低かった

せこい、ずるい
選べるはずねぇじゃん
こんなに君が好きなのに…
こんなにあいつらの事も好きなのに…

「…夏輝ちゃん……ずるいわ」