「悪いなあ、田中じゃない田中。

明菜今、ポメラニアンを飼うかミニチュアダックスにするか悩んでるんだよ。

お客さんは、皆気付いてたみたいだよ。
気付いてなかったのは、俺と明菜くらいだよ。

俺達、鈍感だからなあ。」



「あ~ちょっと待ってよ。
一千万円までは要らないよ。

二十二万三千二百円でいいよ。

そうすれば、携帯代金も払えるし、家賃も払えるし、食料も買えるし、どうしても行きたかった新日本プロレスのドームにも行けるから。


それと、必ず返すから。

田中って人と間違えてるようだけどここのコンビニに来てくれたらいいから。

一年後には、必ず返すからさあ。」



「本当にそれでいいのか?

田中じゃない田中遠慮するなよ。」



「そうよ。主人は、これから亡くなった松田優作の意志を継いでハリウッドで活躍するのよ。」



「いいよ。携帯代金払ったら携帯小説も書けるしさあ。」



「田中じゃない田中小説を書いてるのか?

そりゃ、凄いなあ。」



「いやぁ、恥ずかしい事を言ってしまった四十過ぎて携帯小説なんて恥ずかしいけどね。」



「ええ!?田中じゃない田中四十過ぎてんのか!?」



「実は、ここの履歴書には、二十九って書いたけど本当は、四十四なんだよね。

ここ見てよ揉み上げにちょっと白髪が出始めちゃった。」



「あ~本当だ!?って事は、田中じゃない田中は、俺と同い年か。」



「俺って童顔だからね。田中では、ないけど。」