それからずっと、智也を無視した。
教室でも、廊下でも、帰り道でも。
話し掛けられても、無視を貫いた。


だって、怖い。
別れたくないのに、余計に別れちゃうような事をしてる、馬鹿なあたし。
本当に馬鹿……。


無視なんて、したくないくせに。








そして、10日が過ぎた。
前田くんはあれ以来、一度も会ってない。
下駄箱に、こんな手紙が入ってた。


《山本さんのイメージが、僕の想像と違ったので、止めます。彼氏に暴力振るうのは正直言って引きました。告白の事は忘れて下さい。 前田》


……ほら、ね。
告白忘れて下さい、だって。
彼氏に暴力は引くんだって。
イメージ違ったんだって。

笑っちゃうよね……。




やっぱり、あたしが告白されるなんて、あり得ないんだよ。
『良かったじゃん』
告白撤回されちゃったけどね。
……いや、あれは告白にカウントしちゃダメだね。


ねぇ智也………。
智也も、暴力振るうあたしに引いちゃった?
嫌いになっちゃった?
呆れちゃった?
イメージと違った?


……てか、嫌われてない訳ないか。
あんな酷い事言ったんだもん。
嫌われて当たり前……。



けどね、智也………。