皆と話していると、開いた教室の扉。
そこに立っていたのは……智也。
ドキッとして慌てて顔を反らす。

……けど、遅かった。
目が合ってしまったんだ。




「…梨華…!?」


驚いた表情と、走って向かって来る足音。
あたしの席の前で、ピタリと止まった。


「…梨華、来たんだね?」


優しく響く声。
何でそんな、優しく……。


「…梨華、話があるんだ」


………話?

それ、別れ話…?
嫌だよ……。


「…あたし、先生に呼ばれてたんだっけ」
「梨華……!」


智也を無視して立ち上がり、教室を後にした。




……また、逃げてる。
あたし、駄目じゃん……。

智也の声聞いただけで、泣きたくなるなんて……。