「親友の仁科乃亜!仲良くしてあげて♪」
梨華に促され、キョロキョロと目を泳がせていた仁科とかって奴は、観念したのか顔を上げ、俺を見た。
「にっ…仁科乃亜です!よろしくお願いします!」
赤い顔で勢いよく頭を下げ、早口でそう言った。
あの日と同じ………小動物の女。
まさかこいつが、いつも聞いてた乃亜だったなんて。
呆然とする俺の顔を、遥かに低い目線から恐る恐る覗き込んだ。
「……あの、入学式の日はごめんね?」
その声にハッとした。
俺はなぜか……仁科の顔が見れない。
「…あー…別に気にしてへんから」
「本当?よかったぁ~」
ホッとした笑みを零す仁科。
アカン……何か……。
………可愛く、見えんねん。


