「…今、付き合ってた女と全員別れた。これでもまだ、俺の気持ちは分からへん?」 訊ねる高杉くんに何度も首を縦に振る。 高杉くんは「…ありえへん…」と呟くと、一度俯いて。 そしてもう一度顔を上げると、あたしを見つめてこう言った。 「…仁科乃亜。あんたが好きや」 ………え………。 呆然とするあたしの手を引き、前のめりになったあたしの唇にキス。 軽く触れた唇は、状況を理解した時には離れていた。 見つめた高杉くんの顔は、今まで見たこと無いくらいに真っ赤で。 戸惑うと同時に、あたしにも伝染した。