「あ、おかえり」


一度開けた冷蔵庫をパタンと閉め翔に視線を送った。


「おぅ」

「…あれ?一度帰って来た?」


作業着で行ったはずの翔が何故か綺麗に私服を着こなしてて、私は首を傾げる。


「あぁ。ツレとちょっと会ってた」

「え、じゃあもっと会ってたら良かったじゃん」

「いやいや今から本業だからな」


そう言った翔はハハッと笑う。


「もしかしてホストの人?」

「そーそー。で、これ貰った」

「何?」

「ケーキらしいけど」


翔は手に持っていた紙袋を私に差し出す。

その紙袋を見てすぐに分かった。


あの有名な洋菓子店。

以前、翔がロールケーキを貰ったって、言ってた店。

確か、翔の友達がそこのオーナーさんと知り合いって言ってた場所。


受け取った袋を覗くとバラの絵が描かれたピンクの箱。

そっと取り出し中を覗くと、オシャレで可愛いケーキが4つ入ってた。


「わー、めっちゃ可愛いじゃん、このケーキ」

「良かったな」

「って言うか、何でくれたの?翔、甘いもの好きじゃないじゃん」

「あー…それ美咲に」

「は?」


思わずすっ呆けた声が出て翔に視線を送った。