「誠、1人で寂しかっただろ?怖かっただろ?」


しっかり前を向きながら歩いている父さんの問いかけに、体を揺すりながら、2回頷いた


「これで分かっただろ?1人じゃダメって事が。」


「えっ?」


「今から言う事をちゃんと覚えておきなさい。」


父さんはそう言って背中に乗っている僕を一度降ろし、膝を曲げて僕の目線に合わすように話始める


「1人じゃ誰だって寂しいんだよ。それは、父さんも一緒だよ。母さんと誠が居てくれるから、今は寂しくない。分かるか?」


真剣な眼差しで言う

それに僕は、軽く頷く。分かるような分からないような…



「野球も一緒なんだよ。野球は、絶対に1人ではできない!仲間が居るからできるんだよ。その仲間を大事にしないといけない。信頼しないといけないんだよ。それがキズナってもんなんだよ。」


今の父さんの言葉は、僕の心に響きわたる


「…父さん。ごめん。」


また涙がこぼれだしてきた


「よし。分かってくれたらそれで良いよ。明日、皆にも謝ろう。皆も許してくれるよ。」


泣きじゃくる僕の頭をよしよしと撫でてくる父さんの言葉に小さく頷いた