「それ、いつ?茂里の家に親御さんが居なくなったのは」


「大体二年前。

最初、不倫が分かったのは母親だったけど……
後から父親も不倫してたって事が分かってね。もうほんと最悪」


あたしは何だか馬鹿らしくて「あはは」と笑った。


「……」


そんなあたしの話を黙って聞いている柳瀬。


柳瀬に話しても、何も変わることが無い、
無意味な事だと思いながらも

一度話し始めたら

あいつらへの怒りがこみあげてきて、

口を止める事ができなかった。



「挙句の果てに、母親にはお前は私の子供じゃない、拾ったんだ。とか言われるしね。まぁでもその方が有難いよ、あんな人の子供だなんて思いたくもないし……」