柳瀬はさらに腕に力を入れ、 あたしを強く抱きしめた。 「勝手に一人で決めて、勝手に離れて行くなよ……」 「ごめん……」 「もう自分一人だけで決めたりすんなよ?ちゃんと、俺に話せよ?」 柳瀬はそう言うと、手であたしの涙を拭いた。 人の気持ちってそう簡単には変わらないんだ。 すごく想っていた人を消すなんて、 そんな事簡単に出来る訳が無い。 あたしは…… あたしは、柳瀬が大好きです。 「好き……」 あたし達は、オレンジ色の空を背景に、 静かな音楽室の中でキスをした。