「お前、ウザイ。変な男に捕まってんじゃねぇよ」 ウザイ、か。 変な男に捕まるなんて、あたしにはどうしようもないじゃん。 たった三文字の“ウザイ”が、あたしにどれだけのダメージを与えてるか知らないでしょ? 「ちょっと飲み物買ってくる」 そう言った叶斗は、あたしと真夕を置いて歩いて行った。 やだ、行かないで…。 このままあたしの所に来てくれない気がして。 心の中で叫ぶ声なんて届くはずもなくて。 あたしはいつも心にためこんで。 いつだって伝えられないんだ。