下駄箱に人影。 一瞬、輝先輩かな?って思ってしまった。 「南波くん」 「…暗いし、送ってくよ」 「あ、りがと…っ」 何でだろう、南波くんの前だと涙腺が緩む。 南波くんは何も言わずに、そばにいてくれた。 何も喋らずに歩いた道。 だけど気まずくはならなくて。 「ありがとう、おやすみなさい」 あたしが言ったのは、別れ際の一言だけだった。