「じゃあ、俺からやるよ」
困ってる唯衣に、助け舟を出す南波。
「あ、ありがとう!」
…可愛い顔見せんなよ。
何で南波に見せんだよ?
「1-B南波悠です。よろしくお願いします」
「じゃあ次、唯衣」
“唯衣”と呼んだ俺に驚いたり、冷やかしたりするみんな。
唯衣は南波のじゃない、俺のだから。
それを見せつけたいだけなんて、余裕なさすぎるな…。
「篠原唯衣です、よろしくお願いしますっ!」
俺を涙目で睨んで、怒った声で勢いよく言い切った唯衣。
何でそこまで怒ってんだ?
俺は唯衣がずっと側にいてくれると思ってて。
少し安心しすぎていたのかもしれない。
唯衣の不安が膨らんでいるのも、唯衣が陰で泣いていたのも気付けなかったんだ。



