「え、新奈?」
新奈先輩?
ドアに振り返ると、確かにそこには新奈先輩。
「ご、ごめん…っ!覗くつもりじゃなかったんだけど……ちょっと輝に話があったっていうか…」
「話?」
輝先輩に、話?
告白する…わけじゃないよね?
不安なあたしを余所に、輝先輩は
「悪い、今唯衣とメシ食ってるから…後でな」
「あ、でも…」
寂しそうな新奈先輩の表情。
あたしが新奈先輩を傷つけてる。
「あ…たし、待ってるから…話して来てください!」
輝先輩は渡したくないけど、新奈先輩も傷つけたくない。
輝先輩を渡さなかったら新奈先輩を傷つけるくせに、あたしは矛盾してる。



