「…篠原」 ふいに呼び止められて、南波くんを振り返る。 「渡瀬先輩と付き合ってて…幸せ?」 そんな質問に、心のモヤモヤを思い出す。 泣きそうになりながらも、あたしの答えは決まってる。 「幸せ…幸せ、だよ」 ゆっくりまばたきをして、夕日を見つめた。 「そっか」 「…でもっ…」 もう一度まばたきをしたせいで、溜まった涙が零れた。 慌てる南波くん。 ごめんね、こんなの聞かされたってきっと困る。 だけど誰かに聞いて欲しかった。