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祇園甲部のとある老舗茶屋。

その整備された中庭の池には、月明かりに照らされたいくつもの黒い影が揺らめいていた。


幾人もの忍び達が息を潜め、『その時』を待つ。



中庭の忍び達が見つめる先には、この店で一番広いお座敷。


中からは愉快な笑い声や三味線の音と共に



「とらと〜ら と〜らとら♪」



楽しげに唄う芸姑の声が聞こえてくる。





そう…


ここは、京華たちが今まさに遊んでいる あの部屋なのだ…。


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