「すんまへ〜ん!!待っとくれやすッ。」


言いながら、階段を滑るように京華が降りてきた。

小春「もぉ−。やっと来たかいな。…ていうか、京子ちゃんのほうはどないしてんの?」


京華「ハァ…ハァ…。すんまへん。それがね、京子さん姐さんは今帯をね…… 」



ドッス〜ンッ!!!!


京華が小春の問いに答えるより先に 家中を鈍い音が響き渡り、床が揺れた。




京子「イッタァ…。」


小春(あほや。)


そう、今のは京子が階段から転げ落ちた音だったのだ。




小春「あ〜あぁ。あんたっちゅう子は…。ほんまにもぉ。何しとんねんな〜。」


(あほや。この子等、ほんまもんの阿呆やわ…。このままほっといたろかな。)


そう思いつつも

三人で座敷へ行くことが再優先なため仕方ない。

小春「大丈夫かいな?怪我は…無いな。しっかりしい!! ほら、行くで。」


そう言って立たせた。


のだが、

京子「すんまへん お姐さん…。小春姐さんは優しおす…。うちはッ…うちはッ………」


京子には逆効果だったようだ。


急ぐどころか

小春の優しさに感動し、今度は泣きそうになる始末だ。


小春(まだまだ修業が足りとらんな…。ま、しゃーないか。)


目を潤ませ 今にも大泣きしそうな京子を、なんとかなだめ

無理矢理玄関から引っ張り出した。


小春はしっかり者だ。


面倒な後輩たちに嫌気がさすとは言いながら

最終的にはなんとかしている。




小春「京子ちゃん、白粉落ちるから泣いたらあかんえ? ほら、京華ちゃん 手引いたりぃ。急ぐで!!」






そうして、夕闇の中
今夜も三人は小走りに座敷へ向かうのであった…