作戦は単純だった。

私たちはいつも放課後の教室でクラッカーを交えた数人で雑談をしている。

その最中に一人が合図をし、それに合わせてクラッカー以外の全員が彼の耳元で大声を出す、というもの。


普段驚かされている分、今度は逆にこっちからあいつを驚かしてやるのだ。


いざ。作戦決行。




「クラッカーさあ、なんでそんなに笑い声でかいの？」

放課後。いつものような雑談。


「えー？　これはもう癖みたいなもんだから」

にこにこ顔で言うクラッカー。


「何度言っても直らないよね」

意地悪く私が言う。


「あー……、みんなに迷惑かけてるもんね。悪いとは思ってるよ」

ぽりぽりと頭を掻きながら、クラッカーは申し訳なさそうに謝る。


「ふーん……」

相槌を打ちながら合図を出す予定の男の子の顔を見ると、彼はにやりと笑って声は出さずに口を動かした。


(せーの、)