そして着いてしまった、真っ白なゲレンデ。
そこにはもうすでにたくさんの人が滑っていました。
「おーい!」
こんなに人がいるから誰が誰を呼んでいるのか分かりません。
「お――い!」
さっきから誰かが誰かを呼んでいますよ?
気づいてあげてくださいよ。
「お―――い!!」
かわいそうですよ?
いい加減、気づいてあげてください。
私は清水くんたちを探しているんです。
「おーい。汐莉。」
体ごとクルッと回されて目の前には人が。
青いウェアを着て、スノーボードを片手に持っている。
「清水くん…」
「汐莉、呼んでるんだから気づいて。」
「清水くんも呼んでいたんですか!
さっきから他の方も『おーい』って誰かを探しているんですよ。
だからそっちばかり気になって。」
「それ俺。」


