記憶の、奥に残る やさしくてあたたかい、珊瑚色の雨・・・ 5歳になったばかりのぼくは、父さんと、母さんと 母さんのお腹の中にいたリルカと 傘も差さず、家族で手をつないで ぼくらの町の隣、ビジリアンの森の奥に現れる-金色の泉コンジキノイズミ-の前で キラキラと輝くきんいろの泉に 珊瑚色の雨が落ちていくのを、いつまでもいつまでも眺めていた。