彼より先に到着しないようにわざと歩みを遅くしてきたのだ。
どうかもう居ますように、と何者かに願をかける。

何時どんな時も、どんな場所においても「異質」は存在するのかもしれない。


もしも、真夏に雪が降ったなら。もしも真昼間が夕焼け色に染まったなら。
目を惹いてしまうのは必然だ。

彼もまた同じである。
探さなくても気付いてしまう。気付きたくなくても知ってしまう。

何も変わらずあの夏のまま、