「光陽公園」は姉が住むマンションの前に在る。
柚子姫ちゃんが黒雅さんを見掛けたと言った、あの公園だ。

公園の中央には木製のテーブルとベンチ、四隅に柱を置いて頭上には木材を組み合わせ天井を造り柱と繋いでいる。
アーチ状に絡まった蔦の葉からは、その名に相応しく陽の光が降り注ぐ。

きちんと整備が施されたこの場所は誕生して数年建っても清潔なままだ。

普段ならば気持ち良く過ごす事が出来たであろう。
今の私にはその待ち合わせ場所でさえ不安要素でしかない。

私が黒雅さんと約束している事を知ったら?
もしもお姉ちゃんが私達に遭遇したら?
在らぬ疑いで済めば良い。きっとそうはいかない。

だってこんなにも懇願した再会が知らない所で始まっているなんて。